(287ページ 2012年初版発行)
星は宇宙空間に漂うチリやガスが集まり形成される。太陽程度の質量では5000万年、太陽の20倍程度で約3万年、0.5倍で約2憶年以上と考えられている。
水素の核融合により輝くようになる。この時期を主系列星と呼ぶ。
太陽では100億年、太陽の0.5倍質量では2000億年輝き続けると考えられている。太陽の20倍では1000万年くらいで燃え尽きると考えられている。
星は水素を核融合してヘリウムを作り中心部に溜まる。やがてそれが圧縮高温化して核融合して酸素や炭素が形成される。この段階は高温でヘリウム核の外側の水素層が膨張し、直径が数十倍から数百倍に膨張する。これを巨星と呼ぶ。
太陽程度の星は、外側のガスを放出して惑星状星雲となり、残された中心核は白色巨星となる。
太陽より十分大きい星は、超新星爆発を起こし後には中性子星かブラックホールが残る。
銀河系では銀河面に沿ってガスや塵が分布する。これを星間物質と呼ぶ。
星間物質が濃く集まったものを暗黒星雲と呼ぶ。
十分な密度を持った分子雲核は自分自身の重力で収縮していく。収縮により圧縮されたガスは高温になる。最初はガス密度が低く熱は宇宙空間に逃げていき、温度はなかなか上昇しない。
しかし密度が高くなると、熱は外に逃げ出しずらくなり、中心部の温度は急激に上昇する。熱による膨張と重力による収縮が釣り合い大きさが安定する。これが原始星の誕生である。
周りのガスは引き続き渦を巻きながら中心部に落ちてゆく、余分なエネルギーは(自転の)南北方向はジェット・ガスとして放出される。
その後も天体はゆっくりと収縮を続け、中心部の温度が1000万[K]を超えると核融合反応が始まり星が誕生する。
星は一生の約90%の期間を安定して輝き続ける。太陽の3分の1以下の星は「赤色矮星」と呼び、その寿命は数百億年になると考えられている。
太陽質量の100分の1前後の天体は「褐色矮星」と呼ばれ、その寿命は数千億年になると考えられている。
これらは主系列星が年老いて巨大に膨らんだものです。赤色巨星は太陽の質量の数倍程度、赤色超巨星は10倍以上の質量を持っている。オリオン座にある赤色超巨星は直径が太陽の450倍、さそり座アンタレスは700倍前後ある。
最新の観測機器により直接直径を測ることができる。
青色巨星は質量の大きな星である。直径は太陽の5~10倍、質量は10~40倍である。
太陽位の質量の星は赤色巨星の最終段階で大変不安定となり、星の外層部を放出する。質量の大きな星ほど多く全体の80%を失う星もあると考えられている。中心に白色矮星が残り光子を放出する。周りに放出したガスがその光子で輝くのが惑星状星雲である。
惑星状星雲の中心には「白色矮星」が残される。 白色矮星は巨大な圧力で原子核と電子が隙間なく詰め込まれ1[cm^3]あたり1[t]もの重さを持つ高密度星である。
また、惑星状星雲を形成できない太陽質量の0.45~0.08倍の星は水素を燃やし尽くすと内部の合う力が下がり自身の重みで潰れ地球程度の白色矮星となる。
遠方の銀河で突然明るい天体が出現することがある。それは数日から数十日銀河そのものに匹敵する明るさで輝くいた後、徐々に暗くなって消えていく。これは超新星爆発と呼ばれる現象である。この時、星は太陽の100億~1000億倍のエネルギーを放つ。
太陽の8~30倍くらいの質量の星の場合、星が大爆発すると同時に、中心核は爆発的な勢いで収縮(爆縮)し潰れる。圧力により原子は破壊され電子と陽子が結合し中性子となり、中性子だけで構成された中性子星となる。
中性子星の多くは、両極方向へ光子ビームを放ちながら高速で自転している。そのビームが地球方向にあると光のパルスが観測される。その為、その状態の中性子星をパルサーと呼ぶ。
アインシュタインは一般相対性理論により「物質により時空の歪み、その歪みは質量多ければ多いほど大きくなる」ことを導きだした。その理論を応用しシュワルツシルトは物質をどんどん小さくして行くと、ある特定の大きさ以下で物理法則が成立しなくなることを発見した。この特定の大きさを「シュワルツシルト半径」と呼ぶ。シュワルツシルト半径以下の領域では光さえ脱出できない。また中心部は無限に近く密度が高く現在の物理法則が成立しない特異点と呼ばれる。
中心核で水素が燃え尽き、エネルギー源が無くなった星は自分自身の重みでつぶれてしまう。この時の重力エネルギーが光と熱に代わり、光輝く白色矮星となる。そして徐々に冷えて光を出さなくなり、星としての一生を終えます。
中心核で水素が枯渇し、ヘリウムの核ができると星は収縮を始める。中心部が高密度になりヘリウムが核融合を起こし炭素や酸素を生成し始める。すると星は膨張し温度が下がり赤色巨星へと変わる。
やがて中心部に炭素や酸素の芯ができ、ヘリウムが枯渇してくると星は不安定になり脈動を繰り返すようになる。そして最後は外層部を吹き飛ばし惑星状星雲を形成する。外層部を失った中心は収縮し白色矮星となる。
この重さの星ではヘリウムが燃え尽きると収縮によって中心部がさらに高温となり炭素が核融合し始める。しかし、この重さの星では核融合を制御できず、中心核の炭素は僅か0.1秒で燃え尽きてしまい、一瞬で膨大なエネルギーが生成され星は高温になって粉々に吹き飛ぶ超新星爆発を起こす。
このような重さの星では、炭素が安定して燃え、ネオンの芯を形成します。さらに核融合が進みマグネシウム、ケイ素と順に元素が形成され最後に鉄が形成され安定する。鉄は温度が上昇しても核融合せず、逆に50億[K]を超えるとエネルギーを吸収してヘリウムに分解される。
中心核の温度はヘリウムに分解により急速に下降し、星自身の重さを支え切れなくなり粉々に吹き飛び超新星爆発を起こす。爆発後には中性子星やブラックホールが残る。
天の川銀河は2000億から4000億の星を含んでいる。
楕円銀河
渦巻銀河
レンズ状銀河
不規則銀河
銀河中心バルジには数十~百憶歳の年老いた星が多いと考えられる。
中心に向かうほど星の数が増え、中心には直径2000光年のガス雲が存在している。
中心から半径100光年の円筒形の領域から上下方向にガスが高速に噴き出している。そのジェットの長さは1万光年以上に達し竜巻のようにねじれながら噴き出している。
銀河系中心には太陽質量の300万倍のブラックホールがあると考えられています。
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天の川銀河の近くには全部で16個の銀河が存在する。有名なのが大マゼラン銀河と小マゼラン銀河である。いくつかの近くの伴銀河は銀河中心の周りを回る軌道をとることが確認されている。
銀河中心の公転軌道を回っている。
アンドロメダ銀河は天の川銀河から230万光年の距離に存在し、秒速230[km]の速度で接近している。
別資料:
40億~45億年で天の川銀河と衝突すると考えられる。中心と中心がずれた状態で衝突し何度か接近と離脱を繰り返し150憶~250億年かけて合体すると考えられる。
数十億個以下の恒星で構成される小さな銀河を矮小銀河と呼ぶ。
アンドロメダ銀河と天の川銀河は大小約50個の銀河で局所銀河群を作っている。
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銀河中心核が異常に活発な銀河を活動銀河と呼ぶ。活動銀河の中心核からは物質をジェット放出していたり、強い電磁波を放出している。
クェーサーは非常に遠くにありながら非常に強い電磁波を放つ天体で活動銀河の一種と考えられている。現在クェーサーと考えられるものが約1万個見つかっている。
銀河が数個から50個程度の集まりを銀河群と呼ぶ。
銀河が50個から1000個程度の集まりを銀河団と呼ぶ。
合体中の銀河群・銀河団はいくつも確認されている。
宇宙の大規模構造を調べると銀河は濃い部分と空の部分で泡の集合のような構造となっている。
我々の銀河が含まれる超銀河団や、その周囲3億光年内の全ての銀河がある1点に引き寄せられている。その点には超巨大な銀河団があると考えられている。
1990年頃に地球から3億光年離れた場所に多数の銀河が集まって壁のような構造を作っていることが発見された。このグレートウォールは長さ約6億光年、幅2.5億光年、奥行が3000万年光年である。その後、別のグレートウォールがいくつか発見されている。
逆にボイドという銀河がほとんど存在しない空間も発見されている。典型的なボイドは3000万光年から5億光年である。
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宇宙は高温高圧の火の玉から始まつた。この始まりをビックバンと呼ぶ。
最初の3分間は物質と反物質で満たされていた。やがて物質と反物質は対で消滅し物質だけが残った。15分後には光子、電子、陽子、ヘリウム原子核の高温プラズマ状態となった。およそ30万年後4000Kまで温度が下がりプラズマ状態は終わり、光子が直進できるようになった。このときの光が宇宙3K背景放射と呼ばれるものである。この時期宇宙の90%を占める水素と残りのヘリウムの軽い元素が宇宙を満たした。
天文学者のハッブルはぼんやり輝くM31が我々の銀河の外にある銀河であることを発見し、これが外銀河であると解明した。その後ハッブルは多くの銀河の距離を求めて遠くの銀河の発する光ほどより赤方偏移(エネルギー減少)していることを気付いた。ハッブルはこれを光のドップラー効果と考えた。つまり、遠くの銀河ほどより早く遠ざかっていると考えたのである。1929年にハッブルは宇宙膨張説を公表した。
1946年にジョージ・ガモフは宇宙を構成している元素の分布を調べて宇宙は超高温高密度の「火の球」から誕生しなければならないと主張した、これは後で「ビッグバン理論」と呼ばれる。
1965年頃に宇宙のあらゆる方向から正体不明の電波、マイクロ波が地球に到達することが発見された。それは、初期宇宙のプラズマが冷えて光が直進できるようになった状態の信号と判明した。これは宇宙誕生のシナリオを示すビッグバン理論と一致する。
宇宙の生い立ちを相対論を用いて調べると「特異点」と呼ばれる密度無限の1点となり物理学では扱えない状態となる。なぜビッグバンは起こったのか誰も説明できない。宇宙の大規模構造ができた理由が説明できない。宇宙はなぜ均一なのか説明ができない。
アラン・グースと佐藤勝彦は宇宙は1点から急速に巨大化したとするインフレーション理論を公表した。この理論は真空の相転移と一般相対論の方程式を合わせて導かれた。
インフレーション理論によりビッグバン理論の諸問題は解決された。
宇宙は真空の揺らぎの中で、量子論の「トンネル効果」により出現した。
宇宙は約10-36という一瞬で10の50乗~100乗倍に広がった。膨張中に宇宙は真空のエネルギーをため込む。
10のマイナス32秒後、真空の相転移は終了し、インフレーション(膨張)も終了するとため込まれていた真空のエネルギーが一気に熱となり解法される。これがビックバン(火の玉)であり、この時の温度は100万度の1億倍の1億倍のさらに1億倍である。
ビックバンから最初の3分間で粒子と反粒子が生じて対消滅して光子を生成していた。残った物質が素粒子を形成し、素粒子は軽い元素を合成し始めた。
15分後には、光子、電子や水素、ヘリウムといった軽元素が核と電子に分離したプラズマ状態で飛び回っていた。
30万後、プラズマ状態の宇宙は4000[°K]まで低下した。原子核が電子を取り込み原子が形成されるようになり、光子が直進できるようになった。これを宇宙の晴れ上がりと呼ぶ。
晴れ上がりのときの光子が150憶年を経て地球に届き宇宙背景放射として受信されている。
宇宙の「晴れ上がり」後、物質は引き合い雲を作る。密度の揺らぎにより密度が高いところはより物質が集まりやがて銀河の元となる「原始銀河」や原始の星ができたと考えられる。そして10億年後に、宇宙は星や銀河で満たされた。
初期の宇宙は銀河は小さく不規則なものが多い。長い年月を経て銀河は合体成長を繰り返して渦巻き銀河や楕円銀河に成長し、また同時に銀河群や銀河団を形成したと考えられている。
ビッグバン理論の証拠の一つが宇宙背景放射であり、わずかな宇宙背景放射の温度の揺らぎがインフレーションにより生じたことを合理的に裏ずけた。
宇宙を構成するエネルギーの割合は物質は4%で、23%はダークーマターで残り73%はダークエネルギーである。
ダークマーターの存在の根拠は、渦巻銀河の腕の公転速度が内側と外側で等しいことが分かっている。これを説明する為には外側に目に見えない物質が分布していると考えられる。また、銀河に存在する高温のガスが銀河から逃げないことは、目に見えない物質の存在を示唆している。
現在ダークマーターの候補としてブラックホール、褐色矮星、中性子星などの天体サイズのものと、ニュタラリーノやアクシオンなどの素粒子が考えられている。ダークエネルギーに関しては真空のエネルギーではないのかという意見もあるが詳細は何も分かっていない。
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