小林 誠と益川 英敏のノーベル物理学賞受賞論文

弱い相互作用上のCP対称性崩壊の再正常化理論

(1972年9月1日)

概約として、弱い相互作用上の再正常化理論のCP対称性崩壊の問題は熟成された。CP対称性崩壊の忠実なモデルはどんな新しい場を導入しない現行の方法の中では、存在しない。いくつかの実現しそうなモデルは議論されている。

弱い相互作用上のCP対称性崩壊の再正常化理論をハドロン機構に適用するとき、我々はいくつかの限界を感じる。良く知られたことであるが、3項問題でストレンジ荷の現在の試験上の難解さがあり、4項問題では、この難解さは存在しない。さらに、この論文の著者の一人とMAKI(人名)は、後者のケースで、強い相互作用は、アイソスピンI3の3要素の保存式としてのカイラル SU(4)X SU(4) 不変式でなければならないとした。これら議論に対しての追記として、この理論が現実的である為には、自己CP対称性崩壊-相互作用は、ゲージ不変性として組織化されなければならない。この論文の目的は、この問題を探究することである。

次に、

状態:a)十分に大きい、我々がξと呼ぶ、4番目のモデルの質量の4番目の要素、
状態:b)良く構築された準レプトン過程についての我々の知識に一致すべきモデル

を求めようとするとき、上記の4番目のモデルケース上では、我々はCP対称性崩壊-相互作用を、何か新しい場を導入することなしに構築できないように思われる。この理論中で、CP対称性崩壊をもたらす、いくつかの可能な方法は論議されるだろう。

 我々は4番目のモデル上でp、n、λ、ξの電荷割り当てを,それぞれQ,Q-1,Q-1,Qと熟考し決め、同じ些細なゲージ グループSU week (2)X SU (1)と、ウェインバーグのオリジナルモデルとして、もう一方のスカラー場φを採用した。そして、ラグラジアンのハドロン体として、次の様に分離できる。

L[had]=L[kin]+L[mas]+L[strong]+L'
L[kin]はゲージ場の相互作用を含む4番目のモデル上のゲージ不変運動体のqである。
L[mas]は、ゲージ対称性を自発的に破壊して、qの質量を提供するφに対する湯川結合を含むqの一般化質量項である。
L[strong]は、強い相互作用部分I3と、それ故に、カイラル SU(4)X SU(4)不変性である。
議論を進める上でL[strong]のCとP 不変量を仮定する。
L'は、もし存在するならば、残された相互作用部分である。
L[mass]はφとの結合を含むので、CP対称性の保存の可能性がある。ヒッグス現象として知られている、3つの質量のないφの部分は、質量ゲージ場の中に吸収され、ラグラジアンから取り除かれる。これらが実施された後、スカラーと偽スカラーの両方の部分は、L[mass]に残る。質量項について、L[strong]にゲージ不変性に影響しない、適切で一定のゲージ変換をqに適用することにより、このような偽スカラーを除去できる。

 ここからは、SU week (2)表現に対する4番目のモデルの場を割り当てる可能な方法を考える。このグループは、ローレンツ変換、4番目のモデルの場、それぞれがq[L]=(1/2)(1+γ5)q、q[R]=(1/2)(1−γ5)qと定義され、かつゲージ変換でお互いに混合されない、4番目のモデルの左と右の部分と相互的である。このようにして、各要素は三つの可能性がある。

A) 4=2+2,
B) 4=2+1+1,
C) 4=1+1+1+1


r.h.s 上では、nはSU (2)のn次元状態を示す。4番目のモデル上の電荷割り当てについての現状の方針では、「n>=3」の状態を許可する。結果として、9個の可能性、(A,A)、(A,B) (A,C)…、先、または後の左(右)の固有変換の起源を示す。4番目のモデル上の全ての要素は、弱い相互作用の部分であるだろう、そして、中性の流れ(中性子の流れ?)ストレンジ荷の大きさは、実験により大変小さいと躍動された。(B,C)、(C,B)と(C,C)のケースは勝手気ままにされた。
(B,A)と(C、A)のモデルは、これら(A,B) と(A,C)、それぞれ、ベクトルと軸上ベクトル部分間の弱い(力?)流れ相対的事象を除き、同等である。ga/gγ比率は合成状態によってのみ測定され、相対的事象のこの違いは、構成機構の動的問題により減じられるだろう。そう、我々は(A,A)、(A,B) (A,C)と(B,B)のケースの詳細について探究する。

@)Case(A,C)

 これは、四つのモデルの組み合わせの中では、最も自然な選択である。
二つのSU week (2)の2重項と4つの単項を次式で示そうと思う。
L[d1]、L[d2]、R(p)[s1], R(p)[s2], R(n)[s1], R(n)[s2]
これらは、P(n)がP類似物の電荷状態を示すことを上書きする。このケースでは、一般的には、L[mass]は次式で表せられる。:

L[mas]=Σ{M(n)[i,j]L[d i φ]R(n)[i,j]+M(n)[i,j]L[diεφ *]R(p)[ij]}+h.c..
φ*=列行列 (φ- φ0) 、
ε= |0 1|
   |-1 0|      
式(1)

M(n)[i,j]とM(p)[i,j]は任意の複素数である。三つのゴールドストーン・モードφiを次式と置くことにより、除去できる。
φ=e(iφ iτi)・列行列 (0 λ+σ)                 式(2)

φはφ0の真空の期待値で、σは質量スカラー場である。こうして、残りの質量項の分析を実行して、次式を得る。

L[mas]=q[-]mq(a+σ/λ),
m=|m[p] 0 0 0 |
  |0 m[n] 0 0 0|
  |0 0 m[ξ] 0 |
   |0 0 0 m[λ] |
q=列行列 (p n ξ λ)   
    式(3)

こうして、L[kin]のゲージ場相互作用は次式で表せられる。

Σ「j=1~3」A(j)[μ]iq[-]Λiγ μ(1+γ 5)q/2     式(4)
ここで、Λjは、このケースのSU week (2)行列を表し、明白に次式で表せられる。
Λ+=(Λ1+iΛ2)/2=K|0 U|K^-1
  |0 0|

   |1 0 0 0 |
Λ3= |0 1 0 0 |
   |0 0 -1 0|
   |0 0 0 -1|

  |1 0 0 0 |
K= |0 0 1 0 |     
式(5)
  |0 1 0 0|
  |0 0 0 1|


Uは2X2のユニタリ行列である。こことこれ以後、我々の議論に不必要なU(1)に対するゲージ場を無視する。4つ組み場の固有位相集合について、Uを次式とできるだろう。

U=|cos θ sin θ|
  |-sin θ cos θ|  
   式(6)
こうして、もしL'=0ならば、CP対象性崩壊はこのケースで起こる。しかしながら、注目すべき事項は、もう一つの同チャージ・フェルミオン二つ組みを導入した場合、この議論は保持されない。これは、なぜならば、全ての位相の3X3のユニタリ行列要素は6つの場の位相集合に吸収可能ではないからである。

@@)Case(A,B)

 これは、やや繊細なケースである。2つの左の2重項、一つの右単重項、2つの2重項をそれぞれ、
L[d1], L[d2], R[d], R(p)[s], R(n)[s]
と表す。

L[mass]の一般式を次式で与えられる。
L[mass]=Σ[i=1~2]{ m[i]L[-][di]R[d]+M(n)[i]+L(-)[diφ]R(n)[s]+M(p)[i]L(-)[diεφ*]R(p)[s] }+h.c.
Mi,Mi「n」, Mi「p」は任意定数である。

質量項の分析の後に(このケースで、余分のCP部分組、一般にσは消えない。)各多重項は次式の様に表現可能であろう:

L[d1]=(1+γ5)/2・列行列(P cosθe(iα)n+sinθe(iβ)λ)
L[d2]=(1+γ5)/2・列行列(e(iγ)ξ -sinθe(iα)n+cosθe(iβ)λ)
R[d]=(1-γ5)/2・列行列(sin ξ・p+cos ξ・ζ sin η・n+cos η・λ)  
R(p)[s]=(1-γ5)/2(cos ξ・p - sinξ・ζ )
R(n)[s]=(1-γ5)/2(cos η・n - sinη・λ )  
       式(7)

位相 要素α、β、γは質量4重項の2つの関係を満たす:

e(iγ)m[ξ]sinθcos ξ=m[p]cosθsin ξ - e(iα)m[n]sin η
e(iγ)m[ξ]cosθcos ξ= - m[p]sinθcos ξ + e(iβ)m[λ]cos η
    式(8)

位相要素の表現として、また、弱い流れを通してCP対象性の崩壊の可能性が存在する。しかしながら、ストレンジネス荷の中間的流れはsin ξ cos ξに対して均衡が取れており、その経験的な上限幅はだいたい次式となる。
sin η cos η <10^-2~-3       式 (9)

このようにして、SINη〜0(別の選択として、COSη〜0はあまり重要ではない。)で、式(8)より次式を得る。

m[ξ] / m[p] ~ cot θ tanξ
m[λ] / m[n] ~ sinξ sin θ
      式(10)

その他の仲間の質量と比較して表面上は、カイラル SU(4)X SU(4)崩壊の尺度であるm[ξ]のξに対応する低位置の量子数を我々は持たない。しかしながら、現在のg[A]/g[V]比率に関する実験結果は、8重項バリオン β崩壊は、SINξ>SINθは許さない。こうして、準レプトンの実験知識から、カイラル対象性崩壊の階層を調停することは困難に思われる。

@@@)Case(B,B)

 以前の一つとして、このケースでも、CP対象性崩壊の生起は可能である、しかし|儡|=1中性の流れを禁止する為に、儡=0と|儡|=1弱い流れの軸ベクトル係数部分は互いに逆符号でなければならない。これは、バリオン β崩壊に関する実験に反対主張する。

C)Case(A,A)

類似した方法により、このケースで、L‘=0ではCP対象性崩壊の生起はないことを示すことが可能である。さらに、このモデルは正確にU(4)対象性のものを減少させるだろう。

 結果の概要として、L‘=0である限り4番目の案では現実的なモデルはない。ここで、L‘を通したCP対象性崩壊のいくつかの例を考えよう。これ以後、(A,C)のケースのみ考えようと思う。最初のものは、もう一つのスケール2重項の場ψを導入することである。こうして、この新しい場の相互作用を考えられることになる。

L'=q(-)ψC(1-γ5)q/2+h.c.
   |ψ-(0) ψ+ 0 0|
ψ= |-ψ- ψ0 0 0|
   |0 0 ψ-(0) ψ+|
   |0 0 -ψ- ψ0|

  |c[11] 0 c[12] 0 |
C= |0 d[11] 0 d[13] |
      式(11)
  |c[21] 0 c[22] 0|
  |0 d[21] 0 d[22]|


C[ij]とd[ij]は任意の複素数を示す。既に、質量項の4重項から余分なCP部分を取り除く為のゲージ変換の使用を成し遂げたので、恣意的なものは残らない。こうしてさらに、ψの位相の恣意性はC[ij]とd[ij]の全位相により吸収はできないことを特記しておく。そう、この相互作用はCP対象性崩壊を引き起こす。

 もう一つは、強い相互作用に関した可能性である。強い力の相互作用を仲介するスカラー(偽スカラー)場Sを考えてみよう。例えば、再正常化された、SUweek (2)不変式の相互作用などであり、それは、(4,4*)+(4*,4)のカイラルSU(4)X SU(4)とスカラーと偽スカラー組み合わせを通したqの相互作用に属しているはずである。それは、またφと再正常化可能な次式と相互作用する。

tr {G[0]S(+)φ}+h.c.
tr {G[1]S(+)φG2φ(+)S)}+h.c.
tr {G'[1]S(+)φG'2φS(+))}+h.c.
   |ψ-(0) ψ+ 0 0|
ψ= |-ψ- ψ0 0 0|
    式(12)
   |0 0 ψ-(0) ψ+|
   |0 0 -ψ- ψ0|

Giは4X4複素行列であり、Sに対して4X4行列表現を使用する。これらの相互作用式がCP対象性保存則を破ることを理解することは容易である。。

 次に、もう一つの興味あるCP対象性崩壊のモデルである6重項モデルを考えてみよう。
6重項チャージ(Q,Q,Q,Q-1,Q-1,Q-1)は、2+2+2と1+1+1+1+1+1としてSUweek (2)多項式のそれぞれ左部分と右部分となる。まさに(A,C)のケースとして、チャージした弱い(Week)流れに類似表現として、2X2ユニタリー行列の代わりに3X3行列を式(5)に使用できる。留意点として、このケースで、全ての行列要素の位相を吸収できないが、例えば、次の表現は可能である。

|cosθ1 -sinθ1cosθ3   -sinθ1sinθ3 |
|sinθ1cosθ3 cosθ1cosθ2cosθ3-sinθ2sinθ3e^iσ cosθ1cosθ2sinθ3+sinθ2sinθ3e^iσ |
    式(13)
|sinθ1sinθ2 cosθ1sinθ2cosθ3+cosθ2sinθ3e^iσ cosθ1sinθ2sinθ3-cosθ2sinθ3e^iσ |

こうして、これらの違った流れの要素間のインターフェースを通して、CP対象性崩壊の効果を得るのである。このモデルの興味を引く特徴は、最小オーダのCP対象性崩壊の効果は、儡≠0で非レプトン過程と準レプトン中性強いメソ粒子崩壊(より高い状態の新しい量子数に関係しない)と別の準レプトン粒子、儡=0で非レプトン粒子と純粋レプトン粒子過程である。

 我々は、ただ真っ直ぐに、ウェイン・バーグのモデルを熟考したのみである。しかしながら、別の基礎的なゲージグループの案件と(または)スカラー場は可能である。ジョージとグラショウのモデルはそれらの一つである。CP対象性崩壊は、既に導入した(いくつかの)新しい場以外に、どんな別の場を導入することなく、それらのモデルに混入される。

参照

1)S.Weinberg, Phys. Rev.Letters 19 (1967)
2).Z.Maki and T.Maskawa.RIFP-146
3)P.W.Higgs, Phys.Letters 12 (1964)
4)H.Georgi and S.L.Glashow, Phys.Rev.Letter 28 (1972)